東京都内での開業を考えている方や、創業して間もない方が検討したい制度の一つに「創業助成事業」があります。
ただし、「東京都で開業する」「創業から5年未満」というだけで申請できるわけではありません。指定された創業支援事業の利用など、申請前に満たす必要のある条件があります。
この記事では、対象者・対象経費の基本と、早めに取り組みたい準備を行政書士が解説します。
情報確認日:2026年10月22日。令和8年度の公式情報を参考にした基礎解説です。同年度第2回の申請受付は2026年10月8日に終了しています。次回の募集日程・条件は、今後公表される公式情報をご確認ください。
東京都の創業助成事業とは?
東京都及び公益財団法人東京都中小企業振興公社が、都内の創業予定者や創業初期の中小企業者等を対象に、必要な経費の一部を助成する制度です。
令和8年度の案内では、助成率は対象経費の3分の2以内、助成額は上限400万円・下限100万円です。助成対象期間は交付決定日から6か月以上、最長2年間とされています。
これらは令和8年度の条件です。今後の募集にそのまま適用されるとは限らないため、申請する回の募集要項を確認してください。
対象となる人は?創業歴と経営経験に注意
都内で創業を具体的に計画している個人、又は創業後5年未満の中小企業者等で、所定の要件を満たす方が対象です。都内で事業を実施する場所などの条件もあります。
注意したいのは、現在の会社の設立日だけで判断しないことです。申請時点において、別事業も含め、個人事業主又は法人登記上の代表者として経営に従事している期間が通算5年未満である必要があります。
過去に個人事業を営んでいた方や、別会社の代表者を務めた方は、その経歴も整理して確認しましょう。
申請前に創業支援の利用が必要です
この制度では、指定された創業支援事業の利用が必要です。公式案内には、次のような例が挙げられています。
- TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援を終了していること
- 指定された認定インキュベーション施設への入居
- 東京都・都内区市町村の創業を対象とする制度融資の利用
- 都内区市町村の認定特定創業支援等事業による支援
ただし、名称が似た講座への参加や、相談窓口を一度利用したことだけで要件を満たすとは限りません。対象となる支援、利用時期、終了・利用の条件、証明書類を募集要項で照合する必要があります。
募集開始を待ってから準備すると、間に合わない場合があります。利用する支援によって手続きに時間がかかるため、今までに受けた支援と、これから必要な準備を早めに確認しましょう。
どのような経費が対象になる?
令和8年度の対象経費には、賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費、市場調査・分析費があります。
ただし、「家賃」「広告」「人件費」という名称だけで対象になるとは判断できません。契約内容、利用目的、対象期間、支払先、証拠書類などを経費ごとに確認します。
予定している支出は、次のような一覧にすると相談を進めやすくなります。
- 何のために使う費用か
- 誰に、いくら支払う予定か
- 契約・購入・支払いをいつ行うか
- 見積書や契約書など、どの資料があるか
すでに契約・支払いをしたものも、予定しているものと分けて整理してください。支出時期が異なると取扱いも変わり得るため、自己判断でまとめず確認しましょう。
事業計画で整理したい5つのこと
申請準備では、支出の一覧とあわせて、事業を継続する道筋を具体化しましょう。
- 顧客:誰に商品・サービスを届けるか
- 強み:自分の経験や技術をどう生かすか
- 販売:どのように知ってもらい、購入につなげるか
- 収支:売上・原価・固定費をどう見込むか
- 資金:開業から事業が軌道に乗るまでの支払いをどう賄うか
最初から整った文章にする必要はありません。まずは、それぞれを短いメモにし、数字の根拠や確認できていない点を書き出してみてください。
具体例:小さな店舗を開業する場合
例えば、東京都内で小さな店舗の開業を計画しているとします。これは準備の考え方を示す架空の例です。
「家賃と広告費を助成してほしい」と考えるだけでなく、次の順番で整理しましょう。
- 出店予定地で、どのような顧客に利用してもらうか
- 来店頻度・客単価・営業日数をどう見込むか
- 売上が見込みを下回った場合、何か月持ちこたえられるか
- 開業日から逆算して、許認可・物件・設備・広告をいつ準備するか
- 創業支援の利用状況を踏まえ、申請準備をどう進めるか
助成金を受けられる場合と、受けられない場合の両方で資金計画を作ると、開業時期や投資額を判断しやすくなります。この例は、対象経費への該当や採択を保証するものではありません。
相談時に用意すると役立つ資料
- 創業予定日、又は開業日・設立日が分かる資料
- これまでの個人事業や法人代表者としての経歴
- 利用した創業支援の名称・時期・証明書類
- 事業内容と主な顧客についてのメモ
- 物件・設備・広告などの見積書や契約資料
- 売上・経費・自己資金・借入についての計画
これは相談を進めるための資料の目安であり、申請の提出書類一覧ではありません。資料が不足していても、現在の状況から確認できます。
電子申請の準備も早めに
令和8年度第2回は、電子申請システム「Jグランツ」で受け付け、利用にはGビズIDプライムが必要とされています。
アカウントの準備と、創業支援の利用要件の確認は別の作業です。アカウントを取得しただけで申請準備が完了するわけではありません。
募集要項の条件、必要書類、事業計画、電子申請の準備を分けて確認し、締切から逆算して進めましょう。
東京都での創業・助成金の準備をご相談ください
行政書士法人テンポートでは、創業の構想や経営のご経験、創業支援の利用状況を伺い、申請前に確認したい事項を整理します。
事業計画は、お客様ご自身の考えと事実に基づいて作成します。支援内容・費用・役割分担を事前にご案内し、ご契約の範囲に応じて計画書の作成や申請準備を支援します。
「これから開業するが、何を準備すればよいか」「以前受けた創業支援が要件に該当するか確認したい」という段階でもご相談ください。初回相談は無料です。
公式情報・参考資料
本記事は制度の基礎と準備の考え方を紹介するものです。採択・交付・受給を保証するものではありません。申請時には、対象となる募集回の最新要項をご確認ください。